あなたの補助金申請書が通らない3つの理由(小規模事業者持続化補助金)
先日、2月5日の16時頃に採択結果が発表された、
「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別型)」の第4回(10/2)の締切分の結果ですが、
- 応募総数 52,529 件
- 採択数 15,421 件
- 採択率 29.4 %
となり、前回よりも予想通り狭き門になりました。
ちなみに第3回(8/7)の締切分の結果が、
- 応募総数 37,302 件(+15,227)
- 採択数 12,664 件(+2,757)
- 採択率 33.9 %(-4.5)
※( )内は第3回と第4回の比較値
となっており、
第4回の結果は第3回から、応募総数は約1.4倍になっているのにたいして、採択数は1.2倍程度にとどまり、その結果、さらに採択率が下がったということです。
採択数は予算の枠があるため、大きく変化はしません。
しかし、応募数は第4回以前の回で落ちた方などが応募されるので、後半になればなるほど増えるのが当然なので、この流れだと第5回も狭き門であることは予想されるでしょう。
今後の補助金を獲るために
もうすでに、今回のコロナ型については第5回の締切も終わっていますので、申請することはかないませんが、今後も、この小規模事業者持続化補助金は、定期的な募集があります。
それらに採択されて事業資金を獲得するために、この記事を参考にしていただけると幸いです。
今回採択されず次回に臨む方も、これから事業計画書を作成される方も、以下の3つの採択されない理由を頭のどこかに置いておいてください。
- そもそも対象“外”経費を入れちゃってる
- 経営計画の分析と書き方が不十分
- 相手に伝える努力が足りない
「結構ブラッシュアップした事業計画書、、、どうして採択されないんだろう、、、何か悪いところがあったのかな」
そのように反省される方も多いかと思いますが、
そもそも、日付などを変えた程度の同じ内容の申請書を提出しても、前回は落ちたけどなぜか今回は受かった、ということがあるくらい
合否の基準は正直ナゾですw
そのため、受かる可能性を高めることは努力だけでは難しいところもあるかもしれませんが、
これだけはやっちゃダメという要因を潰して、失敗する確率を下げることは十分に可能です!
これまで約2年間で恐れながら約30以上の事業者さんの事業計画書のコンサルをさせてもらい、採択まで導いた私が、過去の経験からの気づきをシェアさせてもらいます!
1.そもそも対象“外”経費を入れちゃってる
公募要領は毎回微妙に変わっている
あなたは、申請書を書く前に公募要領をどの程度目を通してらっしゃるでしょうか?
これは何にでも通じることですが、まずは自分が挑もうとしている審査の基準やルールを順守しなければ、そもそも審査の対象から外れてしまいます。
例えば、締切日を過ぎて申請しても、それはまず審査の土台にも上がりませんよね。
そして補助金申請において特に重要なのは、「対象経費」を理解することです!
で、今回のコロナ型では、第1回~第5回まで5回の申請の機会があったのですが、その都度、毎回公募要領が部分的に変更されていました。
特に第3回の時点では結構大きな要項の変更などがあり、第2回で落ちた申請書をそのまま日付だけ変えて出した方は、もしかすると第2回ではOKだったけど、第3回ではNGの経費の使い方をされていた可能性もあります。
一例を紹介します。


こちらは上が第2回、下が第3回の公募要領の「②広報費」の経費例を抜粋しています。
広報費の代表的な使い道となるホームページなどのウェブサイトの制作に関するものが記載されていますが、通常は、販路開拓が目的であればホームページだろうがECサイトだろうが対象になったのですが、
第3回からは、
「ECサイト追加や予約システム追加のための」
という一文が追加されたことで、経費の使い道がグッと明確になりましたよね。
これはコロナ禍で、非対面ビジネスモデルへの転換ということをこの補助事業が推進しているため、
例えば、店舗で小売りされていた方が通販を始めるためにECサイトを作ることなどが推されています。
ただし、あくまでこれは例ということで記載されているので、通常のホームページ制作などが対象外経費になったということではありません。
私も事務局に電話で確認したところ、これまで通り、通常のホームページなども対象にはなるということでした。
しかし、わざわざこの一文が明記されたということは、
ただのPR用のホームページよりも、予約システムを入れたホームページを制作する方がより対象経費に近づくということは間違いなさそうです。
私が担当した実際の例では、
自分で申請して落ちたのでコンサルして欲しいという方の申請書をチェックした時に、
「ホームページのSEO対策」
という経費の使い方をしているのを見かけました。
上記の公募要領の一文にもあるのですが、SEO対策などの作業内容や効果が不明確なものは対象外経費に当たりますので、当然不採択になるわけです。
自分は大丈夫と思う場合も、今一度公募要領を見直してみられることをオススメします。
公募要領は毎回必ずチェック!ただし…
特に、不採択になる可能性を見越して2~3回継続して申請を予定している方は、毎回必ず公募要領はチェックしましょう!
その時、毎回全文を読む必要はありません。
最初の公募要領は比較的しっかり読む必要はありますが、その内容が頭に入っていれば、その後は、変更点だけ記した
「新旧対照表」だけ見れば大丈夫です!
その時、さらに、自分の事業に関係する部分だけ目を通せばよいので、そこまで負担にはならないはずです。
これは、あくまで噂ですが、
知人の商工会議所の職員に聞いた話では、今回のコロナ型は応募総数が膨大で、審査する事務局側も簡略化のために通常の手法で審査しておらず、
まず、対象外の経費を含んでいるものはその時点で足切りしている
なんて話もあり、対象外の経費を含んでいるものは具体的な事業計画まで見られていないという。(噂ですよ)
もしこれが本当であれば、いくら熱意を持って事業プランについて書いたとしても、そもそも詳しく見られていないということになり、全てが無駄になってしまいます。
そうならないためにも、まずはしっかりと公募要領に目を通し、対象経費への理解を深めましょう。
迷ったら事務局へ問い合わせするのも一つの手
公募要領を読むことは必須として、例にも自分の事業内容が載っていない時やグレーゾーンな部分があるときは、まずは事務局が出しているQ&Aにも目を通すこと。
それでもよくわからない場合は電話やメールで問い合わせするのも一つの手です。
正直、私も結構この手を使います。
担当者さんによっては、過去の申請例なども教えてくれてアドバイスをくれる場合もあるので、活用されてもいいと思います。
ただし、まずは自分で調べられることを調べて、最終的な手段とすることをオススメします。
2.経営計画の分析と書き方が不十分
何かを相手に伝えるとき、自分の言いたいことや考えが相手にキチンと伝えられているかが大事で、いくら自分の頭の中で考えがまとまっていても、それを上手に表現できていなければ、それでは不十分です。
これは申請書の文章を書く際ももちろん同じで、その時のポイントを簡単に書いていきます。
5W1Hは必ず押さえる!
これは補助金申請に関わらず、プレゼン資料などを作る際にもよく使われる手法ですが、このようなちょっと堅い文章を作るのが苦手という方は、ぜひ、
「5W1H」を意識して、自分の経営計画書などを推敲されてみて下さい。
そもそも5W1Hとは、
Who(誰が)What(何を)When(いつから(いつまで))Where(どこで)Why(なぜ)How(どのように)
のことで、
この5W1Hを意識し文章を構成することで、伝えたい情報の主旨が明確になり、かつ過不足なく相手に情報を伝えることができます。
で、意外とこの手の企画や提案の文章を書く場合には、自分の事業の魅力や補助金の使い道など言いたいことばかりを書いてしまい、
気が付くと支離滅裂になっていたり、自分の頭の中でしかわからない文章になっていたりするので注意が必要です。
なので、まずは事業概要や事業計画などを書く場合は、この5W1Hを意識して見直すだけで、かなり読みやすく、落ちづらい文章になります。
“時間”と“お金“は特に重要
特に、この5W1Hの中で重要なのが、
「When」と「How」です。
具体的には、
When(いつから(いつまで))・・・事業のスケジュール
How(どのように) ・・・資金計画や採算性
と、いうところです。
事業のスケジュールは明確に示す
まず、When(いつから(いつまで))についてですが、
自分の事業をいつからいつまでに進めていくか、スケジュールは明確に示すということです。
例えば、新商品を開発して、PR用のホームページを立ち上げ、さらに宣伝用のパンフレットを作るというような事業に補助金を活用するとします。
この場合、
新商品開発、ホームページ制作、パンフレット制作の3つそれぞれのスケジュールを立てる必要があります。
ただ、いつからいつまでに何をするかというスケジュールを、文章で表現することは意外と難しいいです。
表現が難しいということは、見て理解する側(審査する人)も大変になります。
そのため、事業のスケジュールについては、具体的な予定を自分で設定し、
簡単な工程表のようなものを作ってビジュアルで簡潔に伝わるように工夫しましょう。

この程度でしたら、ワード上でもすぐに作成できるので、ぜひスケジュールは明確にし、工程表にしてわかりやすいように表現してみてください!
あと、補助事業に関係のない(補助金を使わない)事業も併せて行う場合は、それも入れておくと良いです。
上記の例のように、新商品開発、ホームページ制作、パンフレット制作の他に、自己資金で展示会へ出展する場合などはこれもスケジュールに表現しておくと、審査する側も、より具体的な販路開拓に繋がるイメージが持てます。
補助金は1年で回収すべし!
次に、How(いかに)ですが、これは
どうやってあなたの事業をカタチにするか?
資金的な面や手法などとして理解していただき、
特に、あなたの事業に補助金がどのように使われて、それによってどのような効果が生まれるのか、ということです。
小規模事業者持続化補助金の場合、一般的に、補助金で投資したお金によって約1年間の内に効果が得られる(回収できる)ことが求められます。
例えば、75万円(補助率2/3で補助額50万円)でECサイト作って通販を始めるという計画の場合、
補助金でまかなった50万円を1年の内に回収できる、もしくは事業が軌道に乗るスケジュールが望ましいということです。
そのため、通販で月に3万円(1年で36万円)の売上目標として計画を立ててしまうと、投資した50万円を回収するには1年以上費やしてしまいます。
なので、この場合は、月6万円の売上目標とできるように事業プランを見直し、1年かからず回収できるような計画を立て、それを具体的に記載することで、より落ちる可能性を低くすることができるでしょう。
もちろん、嘘や無理な計画などは見透かされますので、甘いプランは根底から見直しましょう。
事業プランを立てる時のコツとしては、
1日の売上→1週間の売上→1ヶ月の売上→1年間の売上
のような感じで、売上計画を考えてみてみるといいかもしれませんね。
実際の数字を積極的に使う!
ここで言う数字とは、主にお金のことです。
例えば、自身の事業のこれまでの経営状況や実績などを示す時、
「開業から現在まで、大きく売上を伸ばしてきました」と、書くよりも、
「2018年は3,650,000円、2019年は4,200,000円、2020年は4,800,000円と、堅調に売上を伸ばしてきました」
と、具体的な数字を示した方が、説得力が段違いですよね。
さらに、これらを表にするなどして見やすくするとなお良し!
この時、別に審査する側は現状の経営状況が堅調であることばかりを見ていないので、売上げが下がっていたりしても、正直に書いて良いと思います。
逆に事業計画で、補助事業を活用することで売上を伸ばし、経営を回復させる計画にすればいいだけなので。
「売上を知られたくない」「後で調べられるんじゃないか」
と、具体的な数字を示したがらない方も中にはいらっしゃいます。
しかし、これからお金を投資してもらう相手に対して、情報を正しく伝えることは最も大切なことですので、そこは覚悟をして相手との信頼関係を築く意識を持ちましょう。
また、開業間もない方や、新規開業するという方は想定や目標でも構いません。
なるべく具体的な売上や販売個数などを示してください。
その他売上だけでなく、来客数や客単価、売り場面積、取扱い商品数、ホームページへのアクセス数などなど、使えそうな数字があるなら積極的に示しましょう。
そうすると文章全体の解像度が上がって(抽象的にならず)、説得力のあるものになります。
3.相手に伝える努力が足りない
前述しましたが、自分の事業内容審査する側に伝わらなければ、そもそも審査の土台に乗りません。
その時、簡単に自分の事業計画書をグレードアップさせるコツがあります。
具体的にいうと、文章全体を見やすくするということだけで、相手への情報の伝わり方がガラッと変わります。
想像してみてください。
あなたの申請書を審査する担当者の人がいるとします。
その人は何とか時間をかけてあなたの伝えたいことを理解してくれたとします。
しかし、その担当者が上司や決裁権をもつ会議などに申請書を持って説明などする際はどうでしょうか?
文章だけでつらつらとミッチリ埋められた書類を頭から最後までは見てくれないでしょう。
そのため、見やすく、短い時間でも情報がくみ取れるというだけで情報の伝わり方が変わってくるので、
見やすいというのは侮れません。
資料見やすくする3つのポイント
簡単に資料を見やすくする方法を3つ紹介すると、
- タイトルや段落で区切り、結論から書く
- 図や写真をポイントで使う
- 書体や強調表現などを適度に使う
この3つを意識して文章をアレンジするだけで、より見やすく伝わりやすい資料になります。
タイトルや段落で区切り、結論から書く
結論のない文章が長々と続く資料ほど、読む気になれないのは誰しも同じだと思います。
そのため、まずは自分の文章を見直し、書く文章をタイトルをつけて区切ることができないか考えます。
タイトルには
●事業概要 【経営状況】 -経営理念-
など、各章で何が言いたいのか明確にし、さらに後で何がどこに書いてあったか見直しやすいようにタイトルなどは目立たせる工夫をしましょう。
また、
●コロナ禍以前の経営状況は堅調
などのように、タイトルで結論を端的に表現するのも効果的です。
人は、まず結論を聞いた上でその詳細を知りたいとなるため、なるべく先に結論を持ってきましょう。
図や写真をポイントで使う
これは、2章で話したように、スケジュールや売上や来数の推移などは文章で記すよりも、表や図にして表現すること。
また、その他に、写真やイラストなどを効果的に用いることで、文章で表現できない情報を相手に伝えられるようになります。
特に私が個人的に大事だと思っているのが、
代表者の写真と、事業所の外観や内観の写真
です。
代表者の写真があるだけで、どんな人が申し込んでいるのか体温が伝わりますし、文章にも色がついて感じられます。
また、事業所の実際の写真があれば実態のある事業者であることの証明にもなり、信頼度がグッと高まります。
私の記憶上、この写真を二つとも入れている申請書は不採択になったことがありませんので、よろしければお試しください。
あと、適度に効果的にということを忘れず、空白を埋めるために余計に大きな画像を貼ったり、意味のないグラフなどを入れたりするのはやめましょう。
見る方からすると、内容が薄いと言っているようなものなので。
書体や強調表現などを適度に使う
タイトルを付ける際にも、書いていることを目立たせることが大事だという話しをしましたが、
特に言いたいことや、強調したい数字などは太字にしたり、フォントや色を変えるなどして、強調しましょう。
これは、短い時間で情報を汲み取ってもらうために重要で、最悪、タイトルと太字のところだけを見れば内容が6割以上伝わるくらいを目指しましょう。
ただ、これも適度にということが大事で、
例えば文字の色を5つも6つも使ってしまうと、逆に混乱を生じさせますので、特に強調したい文字だけ赤にするなどシンプルにしましょう。
採択されるための努力を惜しまない!
いかがだったでしょうか?
文章の書き方などについては、書籍や記事が多数ありますが、私の経験上で意外と見落としがちな3つのポイントを、申請書が通らない3つの理由として紹介させていただきました。
補助金を活用することはあなたの事業を加速させてくれる非常に効果的な手段です。
例えば、50万円の売上を作るだけであなたは何日働く必要があるでしょうか?
文章が苦手、書類に目を通すのが苦手などいろいろと不慣れなこともあるでしょが、申請書を作成して事業を実行することがどれだけ有益かわかるはずです。
その際に、今回の私の記事が少しでもあなたのお役に立てば幸いです。
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